ビクトル・ハラというシンガー・ソングライターの生涯をとおして、ふだん我々に入ってくるラテン・アメリカについての報道は、ほんの一面しか伝えていないことに気付かせてくれる。共産主義・社会主義についてのイメージも日本とラテン・アメリカでは大きく異なることがわかる。ラテン・アメリカ各国の現場に飛び込み、多くの友人を持つ著者でなければ書けないことが沢山書いてある。この本をきっかけに、もっとラテン・アメリカのことが知りたくなった。
ちなみにビクトル・ハラは政治プロパガンダ歌手では決してない。彼の音楽は歌詞を抜かしても、他にない魅力を持っていることを記しておきたい。
ラテンアメリカは日本から遠く、その実情はあまり知られていません。私も実はビクトル・ハラのことは知りませんでした。南米チリで生まれ活躍した歌手兼ソングライターで1973年独裁軍事政権によって二度とギターを弾けないよう手首を折られ銃殺された国民的ヒーローです。しかし虐げられた民衆の立場にたって歌う彼の歌からは恨みや悲しみだけでなく、明るい希望や情熱も感じます。若々しく力強い歌声は心に響きます。
このCDブックは歌詞の和訳ものっており、解説を合わせて非常に分かりやすい作りになっているのが良いです。
アイリッシュージャパン混合音楽ー音楽による国家概念の超克の狙い、こういう思想的理想のアプローチは他の分野ではもう昔から色々あるけど、今の時代ロックで正面からくると逆に新鮮。どっかふるいんだけど、今を感じる彼等のイメージそのままだ。68年世代が支持しそうな歌詞が、今だ我が関西の文化風土と思われてもまた疑問はありますが、思いついたらやってしまう、という大阪人感覚とロックが正直に結び付いてると思います。音楽のクオリテイーも決して悪くないです。この感じが密室的なサヨク感覚になっていかず、広がりを保ってほしいですね。それが今作のアイリッシュ風味の本音と解釈したいです。東欧とかにいったらもっといいかもね。
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