『食卓にビールを』、『片手間にヒロイズム』と気楽なSF短編も良かったですが、今作は長編っつーことで、ヤクシーシリーズなんかが好きな自分には大好物でした。
イタリアの大金持ちの我儘さとは、ここまで?と思える本でした。とにかく注文が多い。突発的な何十人のパーティーに対応でき、同じ料理は2度出さない。地中海の食材を使った料理にすること、フォアグラのパテは常備置いておくことなどの条件のもとで金も休暇がたっぷりある大富豪の専属ヨットの料理人にアメリカ人の著者がなったからさあ大変。狭いキッチン、ゆれる船での最悪な条件のもとでの調理やクルーにバカにされない為ヨットの作業まで手伝って寝る時間以外は働きづめの毎日。 五年間の記録を1年間のように1冊にまとめて、巻末には料理のレシピが添えられています。 あまりの面白さに瞬く間に読んでしまいました。旅行のときに読むのがいい本です。 できれば、料理の写真でもあればもっと良かったのにと思います。 ですから、星は4つ
子供の頃から何度も読んでいますが、
最近また読み返したら、ボネガットの
先見の明に、わかっていても驚きました。
日本やアメリカの、
自己責任だの、グローバル経済、だの、
といった言葉や思想の裏に
どんな策略と冷淡さが潜んでいるのか、
ボネガットは40年もまえから気付いていたん
ですねええ。
最後の部分でいつも涙が出ます。
エリオット・ローズウォーターと
ボネガットに大きな拍手!!
昨年の『あなたに不利な証拠として』に続いて、今年も「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」からヒット作が出た。それが本書、英国が生んだミステリーの新女王、P・D・ジェイムズが’05年、おん年85才で発表したダルグリッシュ警視長ものの新作である。
イギリスはコーンウォール沖に浮かぶカム島。このVIP滞在客だけを迎える高級保養地で世界的に有名な作家が灯台で首吊りの変死体となって発見された。事件の社会的影響に配慮した当局は、この、世俗から隔絶された孤島で、限られた容疑者の中から犯人を挙げるべく、地元警察ではなく、ロンドン首都警察からダルグリッシュ警視長ら3人を捜査に派遣する。
島の滞在客やスタッフからの地道な聞き取り調査から捜査を進める3人だったが、二人目の犠牲者を出してしまう。さらには、ダルグリッシュ本人の身にも思わぬ変事が・・・。
本書は“本格のコード”のひとつ、「孤島」を舞台に、過去の忌まわしい出来事が絡む‘フーダニット’である。
きわめて現代的な病、SARS(重症急性呼吸器症候群)まで飛び出して、「孤島」を二重の“クローズドサークル”状態にして、なおかつ連続殺人にまで発展して、真犯人が最後まで分からない、という本格謎解きのスタイルをとった、いかにも英国風の端正でクラシックなミステリーである。
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