サニーデイサービスの数あるアルバムの中でも「東京」とこの「24時」が双璧であると思います。 春という響きに何か感じるものがあれば「東京」夏であれば「24時」 強引なようですがそれぞれの季節の響きがピタリときます。 夏、少し熱気の冷めた黄昏。 湿度が高く蒸せかえるような夜。眠れない夜。 「ああ 太陽の季節 暑い夜 君はどこで 何をしてる」と唄う7.シルバースター。 曽我部恵一のセンチメンタリズムが、汗になってぼろぼろとこぼれ落ちるているかのようです。
サニーデイのアルバムの中で一番好きな作品です。
サニーデイの偉大さを感じさせられます。
ふつう、音楽は聴く時と場所によって解釈が変化する。
だがこの作品にはまったくそんなことがない。
聴く者を周囲と隔絶し、深い感傷へといざなう。
そんな不思議なアルバムである。
「若者たち」「東京」「愛と笑いの夜」を2年間のうちに発表したのちの4作目にあたる。
97年に発表された2枚のアルバムの片方である。
旺盛な創作意欲がうかがえる。
これだけ多作ながら、曽我部恵一のソングライティングは着実に成長している。
前作、前々作と比べると、曲の「純度」が増しているのが手に取るようにわかる。
このアルバムはステンドグラスみたいな透明な美しさを湛えている。
そして特筆すべきは、全体に漂う気だるさだ。
感傷を誘う曲風もさることながら、曽我部のボーカルがなんとも秀逸である。
まるで、ステンドグラスにそっと息を吹きかけるかのようだ。
「baby blue」「枯れ葉」「bye bye blackbird」などの、息を飲むような美しさ。
周囲の雑踏など問題にならない。
これこそがサニーデイ・サービスの到達点でもある。
この後も数枚のアルバムをリリースするが、この高みには到達できずに解散している。
ネオアコ、サイケデリックフォークなどと説明を加えることは簡単だが、無価値であろう。
渋谷系最後の鬼才が築き上げた、孤高の芸術。
邦楽史にのこる名作だと断言したい。
俺は初心者なのでとてもいいアルバムだと思いました?
是非聴いてもらいたいです?
サニーデイサービスの再結成アルバム……のはずなんだけど、それにしては調子が違うなあ、というか「たまたま前作からのブランクが十年あるだけ」みたいな感じがするのが不思議。余りにも自然に「サニーデイ」然としていて、驚くような、ほっとするような、感動するようなアルバム。曽我部ソロのどの作品よりも遥かに「サニーデイ」しているので、思わず「曽我部さん器用だからなあ、サニーデイっぽいアルバム作るのも簡単なんだろうなあ」という変な懐疑心も吹き飛んでしまう。
一曲目『恋人たち』のブンチャカブンチャカしたイントロからもう、凄くサニーデイ。包み込むようなメロウでポップな空気感、ジャケットの桃色を想起させる、朧げで小さな幸福感。曽我部の歌も曽我部バンドの力強いところがまるで無く、とても脆い。
続く二曲目や五曲目(かつての未発表曲『まわる花』の再録!)でちょっとそれっぽいソウルを、しかしやはりサニーデイ的なメロウさでもってやってしまったり、また三曲目『ふたつのハート』の終盤でわざわざ「God Only Knows!」と叫んじゃったりなど、サニーデイ的な「音楽マニアっぷり」も随所に、それもごく当たり前のように盛り込まれている。
音の、あと歌の質感的にはその薄皮一枚向こうのノスタルジーを感じさせるメロウさやらエロさが、どこか「『24時』『MUGEN』『LOVE ALBUM』を経て作られたアルバムなんだなあ」などと思わせられる。というかこの三枚からの流れとして非常に自然な音作りになっているのも、先述のキャリアとしての断絶を感じさせない一因かも。特にボーカルの重ね方のエロさにニヤリとする。終盤三曲の音響的なつくりなんか、「この三枚の後の作風」という感じがとても強い(『Poetic Light』のリズムトラックなんか、随分昔のあの大曲を思い出させる!)。個人的には特に『MUGEN』に似た質感を感じる。セピア色の『MUGEN』、薄桃色の『本日は晴天なり』という具合。
リンゴスターや中村一義と同系統のようにも思える(それにしても随分頼り無さげながら(笑))、モタリ気味でバタバタした晴茂くんのドラムからして、もうどうしようもなくサニーデイっぽさが溢れているように思う。いやあ、なんだか本当に「復活」とか「再結成」とかよりも、「活動再開」くらいの軽快で自然なノリが嬉しい。完成度も高く、そしてなにより「これで完成!決定盤!」という感じがしないところが良い。……次作、期待してもいいんですよね、これ?青春と哀愁のサニーデイ、「このまま素敵な日々がずっと続く」のか、果たして……。
個人的には、全体的にアダルティックな雰囲気の中にやたらと王道然としたロックナンバー『五月雨が通り過ぎて』(『サマーソルジャー』なんかに通じる堂々とした感じ!)を入れるところが「やっぱり曽我部さん上手いな」とか思ったりする(というか、「こういう曲調もまだやってくれるんだ!」と、嬉しくなる)。
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