児童虐待がテーマで
涙なしでは読めない作品。
ハッキリ言ってすごく重い作品。
その他にも、アルツハイマー、介護問題、等
決して他人事ではない問題も描かれていて。
こういう話、今の時代
きっと現実でも起こっているんだろうなぁ…と思うと
哀しくて辛くて切なくてたまらない気持ちになってしまう。
かなりの長編だけれど
感情移入してしまうので、全然長さは感じず
一気に読み進むことができた。
読み進むうちに
10年ぐらい前に見たドラマのシーンが
頭の中に浮かんできて
ドラマの内容なんて忘れていたはずなのに
それぐらい印象に残ってた作品だったのか、と驚かされた。
後書きに書かれていた
「子」ではなく「仔」にした理由。
それを読むと、また涙があふれてきた。
「優希」も「笙一郎」も「梁平」も
本当に存在していたような錯覚に襲われる。
本編の最後の2行
声を大にして3人に伝えてあげたかった。
もう一度見てみたくて
ドラマのDVD借りました。
またじっくり観直そう。
原作を読んでとても感動したので是非映像化されたものを観てみたいと思って観ました。原作のシーンを再現するために制作者がものすごく凝って作られたのだなとかなり感心しました。ただ個人的な印象ですが、子役の優希が原作のイメージとかなり違うのに違和感を感じましたし(演技力は素晴らしかった)、大人時代のモール役は渡部篤郎はやや小柄でそれも少し違和感がありました(あくまでも個人的感想)。
長い長い小説ですが、全巻一気に読み終えてのレビューです。
本当にひどい話です。誰も幸せにならない。
傷付き、悩み、もがき、結局誰も救われない。
その描写力も半端でないです。
ものすごい量の参考文献からもわかりますが、心を病んだ人間について、作者が徹底的に調べ上げ、それらと向かい合うことで完成作品であることがわかります。
この作品を完成させるために、作者が心身を病んだというのもわかります。
量も量なので、登場人物の「人生の重み」がありありと迫って来ます。
その結果、読後にはかなりの疲労感を伴います。
「さくっと読めました」なんてレビューしてる人もいますが信じられません。
けれど一方で、登場人物たちを羨ましくも思えるのです。
僕はここまで人生に真摯に取り組んでいるのだろうか。
これほど自分のその後を想い合ってくれる仲間はいるのだろうか。
これほどに人生は険しく、美しいものなのか。 自分のちっぽけな人生と比較してやはり羨望の想いすら感じてしまう魔力がある作品です。
重苦しい作品ですが、読み応え十分です。今では安く手に入るのもいい。★5つです。
人の死に視点をあて、世の中が他人に対して無関心になってきたことへの一面を書き上げた作品。読んでいく中で悼む人の心情・所作に不思議さを感じ入り込んでいく。雑誌記者の死の直前の人の死の描写は目の前で自分が体験しているかのように鮮明に映っていく。自分自身、死の直前には自分を忘れることのない人を求めるのだろうかと考えてしまう。
但し、終盤に書かれた一緒に旅をする女性との容易に想像できる交わりと、母の旅立ちとなる死の描写は現実に引き戻されて少し物足りなさを感じた。
自殺、孤独死。人への無関心も関係があるのだろうか。
どこからどう歯車が違ってしまって、こんな過酷な人生を送らなくてはならなくなったのか。
物語の間中どんどん落ちていく「シュウジ」をなんとかしてあげたい!という思いで読みました。「これはフィクションなんだから、」と時に思い返さないと、どんどん引き込まれていつか「シュウジ」の人生を背負い込んでいる自分がいました。
「ひとり」「言葉」「つながり」、人生を支えるいろいろなキーワードが出てきます。作者は私達が通常はそこまで降りていくことのない深いところにまで引き摺り下ろし、絶望の中になにかを伝えようとしているようです。
上下巻で800ページ近いボリュームですが、私は2日で読み終えました。読み終わった後、かなり引きずります。忘れられない1冊になりました。
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