2005年ショパンコンクール優勝者ラファウ・ブレハッチ。
ポーランド人奏者ならではのマズルカの響き。これは私的な意見ですが、
「マズルカ」だけは、ショパンの民族音楽を楽譜に取り込んだ表現はアジア人にはとても難しいと思います。
彼は、それを見事に解釈し、表現している。
ポロネーズはやや緩やかな響きだと思いましたが、プレリュードの繊細な音の紡ぎには感無量!
物心がついた時、初めて知ったショパン国際ピアノコンクール。それが第15回。
第2位及び第5位に該当者なしはこんなことがあるんだなと思いました。
上位入賞者はアジア勢が多数のようで時代の変化に驚きました。
しかしポロネーズ、マズルカ、コンチェルトの副賞3つを
独占、クリスティアン・ツィマーマンからソナタ賞、そして地元ポーランド
からの優勝者・・・。ラファウ・ブレハッチの演奏を聴けば誰もが納得するでしょう。
いいえ、彼の演奏はコンクールの器の範囲に収まらない素質を感じさせてくれます。
第1楽章の20分近くにもおよぶ長曲を鮮やかに弾きこなし、和音の美しさは特筆
です。5年に1度のコンクールだけあり緊張感にかられ万全の演奏かは分からないもの
このCDはショパンの歴史に刻まれるものだと思います。
第2楽章は彼の本領発揮といったところでしょうか。1つ1つの音が明確かつ鮮麗、
何とも言えない感動が心の奥に伝わってきます。フォルテ(楽譜から詳細に誤差があるかも)
部分は音が暴力的にならず枠内に収まりなお小さすぎず聴く側に不快感を与えない
よい演奏を聴かせてくれます。
第3楽章は名人芸の発揮所ですがテクニックに偏りすぎることがなく
彼本来のピアノスタイルを貫いているかと思います。ロンド形式
本来の華やかさがよく分かる演奏だと思います。
直感的に思ったことは彼は素質も感じられますがとてもセンスが良い
と思いました。これからのブレハッチの演奏がとても楽しみになる
演奏です。
ブレハッチのショパン・コンクール・ライブのDVDは2枚ありますが、こちらの1の方は、協奏曲、ソナタを除いたピアノ独奏曲(前奏曲、夜想曲、練習曲、舟歌、ワルツ、スケルツォ、ポロネーズ、マズルカ)全てが収録されています。
ショパンの作品は、オーケストラパートが貧弱な協奏曲よりもピアノ単独作品の方が音楽的完成度が高いですし、また収録作品の数で比較しても、こちらの方がお勧めかと思います。
ブレハッチの演奏は、コンクール特有の過度な緊張感が全く感じられず、全ての曲において音楽的にも技術的にも最高の演奏を聴かせてくれます。また、身体のオーバーアクションは全くなく、観ていても非常に安心感が得られます。
どの演奏も文句のつけようがないほど素晴らしいですが、一つだけ挙げるとすれば、やはり英雄ポロネーズでしょう。力強さと気品を持ちながら、同時に適度なスピード感も備えており、今まで聴いた英雄ポロネーズの中で最高の演奏です。
なお、英雄ポロネーズは、特典映像として入賞者披露演奏会のものも収録されているのですが、2次予選の方と聴き比べてみてほとんど同じ演奏です。それだけ予選での演奏の完成度が高かったことを示しています。
シマノフスキーが主目的で購入、まだ聴きこみ不足ですが、いい曲であることには間違いなさそうです。 勿論、debussyも『雨の庭』や『月の光』が入っているので、、、こちらはギーゼキングやミケランジェリ演奏と比べてしまいますが、いいです。
ノーブルで繊細なドライタッチを堪能できます。
安定感も有り、優等生的な演奏とも思いますが、 ところどころ個性的な一面も見せます。
前奏曲は勿論ですが、ノクターンも最高に美しい演奏です。
|