主人公榊原健三は、今は足を洗って山で隠遁生活を送っていますが、一度も失敗したことのない凄腕の《始末屋》でした。淡々と作業をするように標的を屠っていく描写はまさに殺戮兵器です。一方で粗暴さとは正反対に抑制的で几帳面な人物像で描かれています。殺人自体が好きなわけでなく、事件発生まで静かに生活をしていました。しかし、命を狙われた元恋人を助けるために自分のできることはこれしかないとためらいを見せません。この抑制的な人物像と鮮やかな殺戮シーンのギャップが、他の暴力団員との違いを際立たせていました。
本作は《榊原健三シリーズ》の第一作です。日本推理作家協会賞受賞の『残光』の約5年前が描かれていいますので『残光』読むのであれば、本作をまず読むと話がつながります。では本作は「残光」読む前のつなぎの作品なのかというと然にあらず、大変な力作で「残光」に勝るとも劣らない作品に仕上がっていると思います。
他シリーズの登場人物もそう多くはなく、東作品フリークでなくても十分楽しめる点がいいところだと思います。
本シリーズは謎解きの要素はあまりなく、「俺」が事件をほじくりだしていく過程で自然に明らかになっていく流れは今までのシリーズと変わりません。ただ意外な結末が用意されているので、ラストの種あかしはご褒美だと思って読むくらいがちょうど良いでしょう。
私が本シリーズを好んで読むのは、主に「俺」の人物造形によるところが大きいです。厳密に言えばハードボイルドではないのかもしれませんが、自分自身だけのルールにのっとって行動するがゆえに損もするし、必ずどこかでぼこぼこにされて痛い目にあってしまう点は、結構固ゆでだと私は思います。また作品を重ねるごとに微妙に変化する「俺」の心境をトレースしているのも本シリーズの楽しみのひとつです。
主役二人の個性が光る秀作。 弱さとポリシーが交錯する人物像を見事に演じきっている。 助演陣も素晴らしい。 メリハリのあるストーリー展開と共に、北海道の札幌という街の空気感も大いに感じる。 都会ではあるが、北の地の旅情を感じさせる映像は見事というしかない。
せつなく、そしてコメディタッチなハードボイルド作品。場当たり的な展開は否めないが、それなりに筋が通っており世界観は成り立っている。
大型テレビ(60インチ)にはブルーレイ画質が必須ですね。ススキの夜景空撮シーンで、ブルーレイ画質を明確に感じれます。主役の大泉洋の真骨頂かも知れませんが、新たな一面を観させてくれるのは流石ですが、この映画を彩る主役の周辺を固める配役の抜群の良さも必見。ハードボイルドはこんな感じだったと改めて実感できます。続編、シリーズ化を熱望します。
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