「お昼、なに食った」
「……バスの中で、お茶と甘栗」
「夕飯は」
「帰りのバスの中で甘栗」
「おまえはリスか。とりあえずどっか寄って飯食おうや」
カメラマンを志す少女の半生が描かれたお話。
今までのような島本さんの恋愛小説を期待していた身としては、予想外の雰囲気でした。
暴力や虐待といったテーマは、これまでの島本作品でも頻繁に扱われていましたが、今回はそれに加えて新宗教なども絡んできます。
そのため色々ヘビー過ぎて、主人公に感情移入はいまいち出来ませんでした。
その代わり、独特な世界に惹き込まれたまま、しばらく戻ってこられなかったです。
ハッピーエンドというわけでは決してない。
けれど、自分を大切に出来なかった黒江は、仁さんがいればきっと大丈夫だろう、と思わせる、希望のあるラストが単純に良かった。
元々、島本理生さんが好きで読んだのですが、はっきり言うと微妙です。 帯に、「ナラタージュを超えた、最大熱量の恋愛小説!!」と書かれていましたが、私にはナラタージュの方が断然良いと思います。個人の好みはあるでしょうが、なんとなく書ききれてないような気がします。最後のページまできたとき、「あれ、これで終わり?」という感じがしたので・・・
ただ、主人公の女の子のちょっとした感情や、日常で思うこと、そういった細かな描写は相変わらずすごいなぁと思いました。麻由の困ったような表情も、ありありと想像できました。蛍の生な気持ちもありだと思います^^
全体的に批判的な内容にはなってしまいましたが、良い作品だと思います! これからも、島本さんには感動できる小説をたくさん書いて欲しいと思います。
宮下奈都について絶賛されてたが特に引きつけられるものはなかった。愛読してる井上荒野のほうが個人的には好きです。
通勤電車の中の暇つぶしと思って買ってみましたが、500頁の本を2回も読んでしまいました。特に最後の1頁は覚えてしまう程読んでしまいました。
恋とは堕ちるもの。それも瞬間的に堕ちてしまうもの。ただ、両方とも堕ちることができる恋は殆どない。そして両方とも堕ちた恋は人生の中において宝のようななもの。
14歳と23歳の恋が34歳と43歳になって瞬間解凍されるのも堕ちることができた恋が宝石のようなものだからなのだと感じさせられました。
島本さんの他の作品に比べて、レビュー数が少ないことにびっくり。 読後感が若干もやもやするせいでしょか?
表題作の『君が降る日』に登場する五十嵐さんと『野ばら』に登場する祐のお兄さんは、同一人物をモデルにしたのかと思うくらい性格も境遇も似ています。 もし隆一が死んでない状況で志保と出会っていたら、『野ばら』の深雪のような展開になってしまったのでは…、とか考えてしまいます。 でも正直、この二人のゾッとするような弱さは許容出来ないほうが幸せになれるような気がする。 そのため、深雪の行動にはかなり引きました。 親の気持ちも考えてくれ…;
『冬の動物園』に登場する森谷くんは物凄く素敵です。 他の2作品と違って全体的に明るめで、このお話だけでも「買って良かった!」と思えます。 島本さんの作品は問題のある年上男が有名ですが、『リトル・バイ・リトル』の周や『猫と君のとなり』の荻原くんのような包容力抜群の年下男が素敵しょうがない。 また、美穂のお母さんのセリフが凄く印象的でした。 確かにこんな男の子を自分の娘が連れて来たら、誇らしくなるよなぁ…。
『野ばら』の佳乃と祐は、これが有川浩さんとかだったら「言えや早く!!」とか突っ込みが入るところかもしれません。 しかし、こういう風に纏まるのが島本さん、と言うか。 恋が終わっても人生は続くんだよなぁ…と、これは全編通して言えることかもしれませんが。
切ないお話が好きな人には絶対お勧めです! 苦手な人も、ぜひとも『冬の動物園』だけは読んでほしい!!
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