10時間3000円のモーツァルトもありますが、ウィーンフィルのような
演奏者が演奏していることを考えると、こちらの方が質的には圧倒的に上だと思います。
ジェラール・プーレは、フランスの大御所。これほど繊細で色彩的なヴァイオリンはなかなか聴けない。伸びのある音は、若々しい。深尾由美子も、フランスのリヨンの国立音大を出ている人で、フランスものを得意としているらしい。セブラックの、なかなか耳にする事の無かったヴァイオリンの作品が、艶やかに演奏される。深尾によるセヴラックのピアノソロも良い。ここに収録されている曲は、一度聴いたら耳に残り、何度も聴きたくなる。
ファリャの6つの小品は、文字通り小粒なのだが、小気味よい演奏だ。曲は、ファリャの7つの歌曲を、作曲者了解の上、コハンスキという人がヴァイオリン編曲(1曲を割愛)したもので、1曲1曲の個性は全て異なる。1.ムーア人の衣装(織物)2.子守歌 3.カンシオン(歌)4.ポロ 5.アストゥリアス地方の歌 6.ホタ。
そしてチゴイネルワイゼン。ダイナミックで感動する。サラサーテのピアノ伴奏部は(この曲に限らず)単純な音型を繰り返すようなものが多いのに、それを歌のように聴かせる。朗々と歌うヴァイオリンにフィット。
流石コンセルヴァトワール名誉教授だけあって、言葉の一つ一つ取っても深みがあります。
「常に換気して常に弓に空気を取り入れる」など、細かすぎる技術論というよりは、良い音を作るために意識するポイントを斬新且つ明快な言葉で表現してくれます。ヴィブラートについては相当なこだわりを感じました。
また、このDVDの素晴らしい点は、単に氏の音楽を聴かせ見本を示すのみにとどまらず、一般的によく見受けられるヴァイオリン奏者の欠点を忠実に再現しながら(どこまで器用な人なんでしょう…)、何が正しいか、どのように意識を置きながら演奏すべきかを教えてくれる点にあります。これは他の教則DVDには無かった(出来なかった!?)工夫ではないでしょうか。
あえて欠点をあげるならば、氏の要求が高いレベルにあるので、ある程度経験を積んだ方でないと、指導の意味を本当の意味で理解できなさそうなところでしょうか。すなわち中・上級者向けの教材であると認識しています。すべての方に最適と限らない点で、軽くマイナス評価をしての、星4つです。
バイオリンを真剣にやりたい方は、是非一度見ておいて損はないでしょう。価格も適正であると感じます♪
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