戦争は始まってしまうと敵も味方もない、残酷な殺し合いであり破壊行為である。この映画は、戦争の本質をストレートに伝えてくる。今観ても全く古びておらず、現代に通じる普遍的な悪(戦争)を描いている。また、戦争という暴力による人格崩壊のドラマでもある。製作年はベトナム戦争たけなわの頃であり、ベルイマンの静かな怒りが感じられる。映画は、戦争に訳も分からず巻き込まれていく夫婦の物語として進行する。なんとなく軍用車が増えてきたりして戦争が近づいているのを予感させる前半から、突然の軍用機の墜落・激しい爆撃、敵味方に拘束されての尋問と続くあたりは、まるで不条理劇のよう。気弱などちらかというと臆病な夫(マックス・フォン・シドー)が後半、妙に逞しくなっていくのが怖い。戦争による惨状を呆然と見つめる妻役のリヴ・ウルマンが好演。即興で撮ったという戦争前の夫婦の語らいの長回しのシーンでの表情・演技がまた素晴らしい。 「狼の時刻」と同様に特典映像、予告篇、音声解説、フォトギャラリー付き。このフォトギャラリーは枚数が多くて、撮影現場の雰囲気が伝わってきて良いです。
スウェーデンが生んだ巨匠イングマル・ベルイマンの名声を決定付けた作品として知られていますが、それも納得の奥深さ。生と信仰、死と恐怖という人間にとって絶え間なく続く悩みが中世社会を舞台に恐ろしくも気品高く映像化されています。
名優マックス・フォン・シドゥ演じる騎士アントニウス・ブロックが従者ヨンスとともに十字軍遠征から故国に戻り、信仰の意味を問いながら様々な人々と出会い行動を共にする過程を通じて死の問題が切々と語られます。特に効果的なのは「死」そのものが人のかたちをとって現れ、騎士を精神的に翻弄するあたり。人間と死との葛藤がチェスゲームのかたちで表現されることで本編のメッセージがよりクリアに象徴化されています。死神を演じたベンケ・エケロートの上品かつ不気味な演技が利いています。
死の恐怖を一辺倒に語るだけではなく、しがない旅芸人親子の微笑ましい生活を通して生きることの喜びや、旅芸人の座長と浮気する鍛冶屋の女房と亭主とのやりとりを通して人生の滑稽さを挿入しているところも本編に奥行きのある映像芸術としての厚みを加えた要因であると思います。そして最後には死さえも、敬虔な気持ちによって迎えられるべきものであるという示唆がなされていることに一種の救いを感じることができます。
ベルイマン監督の思慮深い演出がとらえる人間にとって極めて重要で深遠な精神性。名撮影監督グンナール・フィッシェルによるコントラストの美しいカメラワークの助けを得てひときわ雄弁に語られる、これは北欧映画芸術の一つの最高峰であり、野心的秀作の名に恥じないフィルムであることを強く感じます。
光田WORLDここにありき! 冒頭の曲の最初数秒間を聴いたとたん霧掛かった中世の世界観が感じられた。鐘の音やハープやオーボエ、フルートなどがそう感じさせるのだろう。なにやら不思議な気分にさせてくれた。 台湾のPCゲームのサントラと言うことですが、そのゲームの事に関してはなにも知らない。だから純粋に音楽がさまざまなイメージをもたせてくれる。曲のタイトルもシンプルで曲のイメージを固定させない。人それぞれの価値観を柔軟にさせてくれる。個人的に7曲目がBESTかな。笛の音もさるとこながら、ピアノに光田さん独特の音階が滲み出ておりすばらしい。なつかしさ、孤独感、せつなさ、色んな事を感じさせてくれた。 8曲目は緊迫感、緊張感、孤高感、壮大なイメージ。あえてクロノトリガーで言うと魔王戦の曲かな。 3.4.9曲目も好き。つーか光田さんが作ってるんだから悪いわけないっすよね(笑)!なのに1800円!!買うしかないでしょ(笑)
2000年4月。ウィーンムジークフェラインでのライブ録音。 アーノンクール最初の20世紀作品の録音であり、彼が演奏する数少ない彼の同時代の音楽である。 この曲は、シェーンベルクを体験した世代のオーストリアの作曲者:シュミット(1874ー1939)が、バッハ以来の宗教曲の伝統を踏まえた上で、両大戦間の絶望的状況と明日への希望を、ヨハネの黙示録にテキストを求めてオラトリオとして書き上げたものである。音楽内容は、多少折衷的な印象もあるが、それはバルトークやストラビンスキーの最盛期のみを基準にした評価であって、それらに対して冷静な評価の出来る今日、宗教的世界を描くという目的には適切なスタイルの採用であると思う。日本では有名な曲ではないが、20世紀前半に作曲された宗教曲の最高峰'!形成する作品であることは疑いが無い。 この曲が描くのは(アマゾンのコメントにある)キリストの受難物語ではなく、ヨハネの黙示録である。したがってサタンと戦う神の子としてのキリストと、この世が終わりに至るまでを描いている。音楽的スペクタクル風の、ある意味20世紀の後半の映画音楽を先取りする、雰囲気もただよう。 巨大な曲を完全に分析制御した、たたずまい良く、鮮烈な演奏である。我が国でも国内発売と同時にアーノンクールに批判的な評論家も含めて高い評価が与えられた。 この指揮者一流の、徹底的なアナリーゼを経た上での再構築であるため、テクスチュアの明晰さと曲の威容が矛盾せず並存する。こけおどしの音響は皆無であり、過度の熱狂・おどろおどろしさだけに陥ることなく、静謐と!厳を豊かにたたえた、宗教曲として模範的な演奏となった。。 独唱陣は優れた宗教曲の歌い手を揃え、コーラスも歌い慣れた雰囲気であり、指揮者の意図に機敏に反応している。とりわけ聖ヨハネを歌うクルト・シュトライトは印象深い。バッハ作品に要求されるようなクオリティーを維持しながら、適度な豊かさもあり、聖ヨハネ(もともとワグナー歌手を想定して書かれたらしい)の宗教的敬虔さを十全に表現した。この人のマタイの福音史家を是非聴いて見たいと思う。 なお解説書に、この曲と黙示録の宗教的な解説を、指揮者の兄弟のフィリップ・アーノンクールが簡明に行ってくれており、国内盤解説にも翻訳が掲載されている。こういう宗教的な文章は外国語では読みにくいので、これは国内盤の値打ちだろう。
人によって様々な青春時代背景があると思います(当たり前です!)
私のそれの一部がこのアルバムに収められています。
私の中でゲーム音楽を意識しだす切っ掛けを作ってくれた一人でもあります。
この人の音楽はあの頃の思い出に色濃く残っていました。
ただ正直自分の中ではクロノクロス辺りで光田作品が終わってます。
一応キリテは買ってたりゼノサーガも一応プレイはしてたりはしてますが、
基本それ以降は余り詳しくない自分なのも事実です。
なので一部よく認識してない作品もありました・・・。
この作品に収められている音楽自体は光田ファンの方なら既にもっていて、この様な
ナンバーを揃えたプレイリストを作って何度も聞いて楽しんでる人はいると思いますが、
私の様なタイプには再認識するきっかけ的な意味でもいいアルバムだと思いました。
やっぱりいいよねぇ・・・。昔買ったサントラ出して久しぶりどっぷり聞きなおして
みたりしてます。
最後のトラックが盗めない宝石で終わってくれるのは個人的に大変嬉しい。
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