カナダの歌姫アン・マレーの2008年最新盤。全17曲がほかの女性シンガーたち(17人)とのデュエットというアルバムである。その女性シンガーたちがすごい。有名どころだけでもキャロル・キング、オリビア・ニュートンジョン、シャナイア・トウェイン、サラ・ブライトマン、マルティナ・マクブライトそしてセリーヌ・ディオン。よくぞこれだけ揃えたもの、と驚く。彼女の往年のヒット曲が中心のため、選曲は“THE BEST SO FAR”と大部分重なってしまう。このため、アンのアルバムを聴きこんできたファンにとっては新鮮味には乏しいと言わざるをえないが、それぞれのシンガーの持ち味を生かした配曲になっており、十分楽しめる内容となっている。
極めつけは、セリーヌ・ディオンとの”When I Fall In Love”。この曲は1952年のドリス・デイのヒット曲であるが、このモントリオールでのライブは、感激した聴衆がスタンディングオベイションで二人の素晴らしい歌唱を称えたという。素晴らしい曲、素晴らしい声、素晴らしい歌唱。この曲の演奏が聴けるだけでもこのアルバムを買う価値がある。
アンもすでに還暦を超えて「卒業アルバム」のようなアルバムを出すまでになったが、過去の栄光に浸るだけでなく、もっといろいろと30年代から60年代頃までのスタンダードに挑戦してほしいと願うのは私一人ではないだろう。このアルバムでも確認できたが、声は美しく、正確無比のピッチも健在、まだまだ引退するようなトシではない。次のアルバムも出たら必ず買うので、頑張って歌い続けてほしい。
カナダの歌姫、アン・マレーのスタンダード曲集。のちに「カントリークルーニング」が出るのでこれは「クルーニング」(優しく歌う)第一集ということになる。 1950年代、彼女がティーンエイジャーだった頃、さんざん聴いていっしょに歌ったという曲が集められており、まさに彼女の35年にも及ぶプロとしての歌手生活のルーツそのものである。今でも時折耳にするようなスタンダード名曲(例えば”Fever”, “You Belong To Me”など)もあるが、初めて聴くような新鮮な佳曲(”Old Cape Cod”,” The Wayward Wind”,” Born To Be With You”ほか)も多い。 それにしても何と美しいアルトであろうか。乱れとは全く無縁な正確そのものの音程。歌詞の意味を大切にした一語一語の発音。オリジナルの曲を消化しつくして、完全に自分の持ち歌のように歌っていて、繰り返し聴きたくなる魅力に溢れている。彼女がなぜ35年もの長い間、第一線で活躍を続けてこられたのかこのCDを聴けば分かる、といえば言い過ぎだろうか。アン・マレーのCDを持つのであれば、これは「MUST(必ず持たなければいけない)」の一枚であろう。
カナダの実力派歌手アン・マレーは、1960年代の末から歌手活動に入りすでに30数枚ものアルバムを出している。そのうちの20枚のアルバムが2枚分ずつ1枚のCDに入れられて10枚の「シグネチャーシリーズ」として再発されている。本CDは1974年に発売された2枚のアルバムによるもので、同シリーズ第4集である。一年の間に2枚ものアルバムを出すのだから、相当な人気があったに違いない。 最初のトラック”A Love Song”はカントリー風の素晴らしい曲であるが、全体はカントリー一色ではなく、ソフトロック風の曲も多いように思う。どんな曲を歌ってもアン・マレーはとにかく声が美しく歌がうまい。 本作品は、彼女のベストではないかもしれないが、アン・マレーのCDコレクターには、欠かすことの出来ない重要な作品であろう。 アン・マレーの英語の発音は、crispでとても聞き取りやすい部類に入るのだけれども、私はnativeではないので、すべてを聞き取れるわけではない。歌詞lyricsが付いていればもっと楽しめるのだけれども。
カナダの歌姫アン・マレーの1994年のベスト盤。1969年に出て彼女にスターダムの地位をもたらした”Snowbird”から、1978年の最大ヒットで極めて美しいバラード”You Needed Me”、1979年の大ヒット“Shadows In The Moonlight”など数多くのヒット曲が20曲もぎっしり詰まっている。 私にとってのアン・マレーの最高傑作は“croonin’”(1993年)であるけれど、このアルバムは“croonin’”からの曲は1曲だけで、また当然のことながら“Country Croonin’”(2002年)からの曲は全く入っていない。どちらにも綺羅星のごとく素晴らしい曲・素晴らしい歌唱が入っているから、彼女のベスト盤を2004年に再編集するとしたらかなり内容は変わってくるだろう。あくまでもこのアルバムは10年前の”The Best So Far”(これまでのところのベスト)である。 アン・マレーをまだ知らない人にとっては最高に楽しめるCDであろうし、これまでファンだった人たちにとっても、コレクションに加える価値が充分にある。
93年のスタンダード集『Crooning』の続編ともいえるCDだが、出来ばえと中身の濃さはこちらのほうがはるかに上。いわば彼女のルーツ的な曲目ばかりを選んで構成されているが、その選曲のセンスは抜群。50年代から70年代にかけてのカントリーヒッツを感情を込めながらもさらりと歌っている。まさに「クルーニング」(小鳥がさえずるように歌うこと)そのものである。バックミュージシャンの編成やアレンジもシンプルで、原曲のイメージを壊さぬように配慮されている。特にドラムスがスティックを極力使わずブラシワークでリズムを刻んでいるのがいい。しいて難をいえば、全盛期に比べて若干の声の衰えが気になることくらいか。
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