安達祐実さんの歌う『気分爽快』は、まさに『気分爽快』。 特に、4曲目『散歩』は快作。 常時、彼女の声が聞こえてきそうである。
世界名作劇場『ペリーヌ物語』の原作の訳書で、二分冊の上巻である。 アニメは、ボスニアで父親が亡くなった直後から物語が始まり、 16話分使ってフランスまでの道中を描いているが、 原作では、フランスに辿り着くところから始まる。 これは恐らく、アニメでは『家なき娘』という邦題の通り、 長い旅の末に祖父に受け入れられるすべての過程を重視しているが、 原作は『家族で』という直訳の通り、元々ペリーヌが祖父に家族として 受け入れられる過程にのみ着眼点を置いているためだと思われる。 そのため、物語が始まってすぐに訪れる母親との死別シーンや、 パリカールとの別れも、アニメに比べて淡白な印象を受ける。 上巻の主な流れは、フランスでロバのパリカールを売り、母親が死に、 ペリーヌはたった一人で旅の目的地である、祖父のいるマロクールへ向かう。 苦難の末マロクールに辿り着くが、祖父は自分と母親をひどく恨んでおり、 ペリーヌは追い返されるのを恐れて名乗り出ることができなかった。 そこで祖父の経営する紡績工場で働き、やがて英語の才能を買われて、 祖父の側で通訳をするよう頼まれたところで終わる。 もう一つ、原作とアニメとで大きく違う点がある。 それは、原作では、ペリーヌがヴュルフランの孫であることが最後まで語られないのだ。 そのため、ペリーヌの、祖父に対する内面が一度として直接的には表現されず、 ひどく物足りない感じがする。 全体を通してアニメの方が楽しめるが、祖父に対すること以外はペリーヌの 内面もしっかり描かれているし、マロクールへの道中やマロクールで一人で 暮らしている光景の描写は細かく、読み応えがある。 一小説として、アニメを知らない人にもオススメできる作品だ。
10歳未満のお子さんなら、アニメから入るのが自然かもしれません。
10歳くらいになるまで、アニメの家なき娘を見ていないのなら、文庫を先に読むのがお勧めです。
文庫を読んだ上で、なぜ、アニメでは、まとめてしまったかを考えるのもよいかもしれません。
小学館世界の名作 このシリーズは本当に素晴らしいと思います。 大型絵本でとても読みやすく沢山持っています。 何より!挿絵どころではない美しい絵が描かれていて、 どの作品を選んでも素敵です。 記念日ごとに買い集めています。
小説集としては4年ぶりですが、各短編の初出は、以下のようになっております。 悲惨すぎる家なき子の死 『文藝』2010年冬季号 死体晒し場 『文藝』2011年春季号 かつて馬だった娘 『文藝』2011年夏季号 心の始球式 『文藝』2011年秋季号 人間の顔にしか見えないものが 『文藝』2012年春季号 君は馬鹿より愚かしい 『In The City』第二集 2011年4月 まだ何も書いていない…… 『en-taxi』第二十号 2007年12月
ブランクはあったものの、中原昌也の毒は全く薄まっていません。これを読む少し前に、マリ&フィフィも読んだりしたのですが、文章力としてはこちらのほうが、確実に上ですね(だからといって、小説の面白さに優劣がつくわけではないのだけれど)。『ニートピア2010』には、本当にただの枚数稼ぎにしかなっていないような短編も散見しましたが、今回はスリムになっていて、スラスラと読むことができ、パワーも最後まで持続されています。特に、表題作は、今後彼の新しい代表作になると思われます。しかし、今作で一番、良い意味でも悪い意味でも、中原らしいといえるのが、「まだ何も書いていない……」ですね。このエッセイと小説をが双頭となったようなやけくそな作品に、どこまで耐えられるか? これは、中原自身から読者へ提出された踏み絵かもしれません(笑)
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