Death Walks Behind You
アトミック・ルースターの2nd。1971作
リーダーのヴィンセント・クレイン以外はメンバーが替わり、
サウンドの方もヴォーカル、ギター、ドラムの変化によりヘヴィーさと
ブルーズロック色が増した。ハモンドのイメージが強かった1stよりも
むしろピアノやギターリフが目立っていて、その分HR的になった印象だ。
オルガンにギターを絡めたアンサンブルも前作よりまとまってきており、
渋いながらもアルバムとしての完成度は高まった。プログレ/HR両対応作。
フロム・ザ・ビギニング(DVD付)
ELPとしては2種目のボックスセット。前作「リターン・オブ・ザ・マンティコア」は再結成を記念しての作品だったので、未発表音源も3曲あったが、その価値を高めたのは「新録曲」の数々だったと思う。対して本作は2007年に彼らの母国イギリスで発売されたものを、拘りの日本らしく「結成40周年記念」と銘打って、1夜限りの再結成の興奮冷めやらぬこの時期に発売した、真の意味での「回顧録」とでもいうべき総集編を目指した作品といえる。
前作ボックスで新録により収められていたELP結成前に在籍していたバンドの音源も、見事にオリジナル(クリムゾンやナイス等)を収録。未発表音源として、これまで断片的に発表されてきた1972年プエルトリコでの「マ・イ・ソル」フェス出演時の演奏がフルに初登場している。あまりの高湿度でムーグの制御キースが苦労したという伝説の公演の全貌を初めて耳にした感想は「凄い」の一言。出しの「ホウダウン」から3人が激走する様は、既発の様々なライブ音源と比肩する素晴らしい出来。音も「レディース・アンド・ジェントルメン」の痩せた音に比べ、(分離が良すぎる気もするが)骨太でロック的な醍醐味に満ちていて、カッコ良い。
全キャリアを総括する選曲もまずまずだし、ミックス違いやアーリー・テイクなどの貴重音源も含まれるのも良心的。
なにより、前作ボックスに比べ美麗な化粧箱もなかなかだ。
唯一、星を減じたのはDVD。既発の「マンティコア・スペシャル」を付けた意味はなんだ?という感じ。付加価値は日本語字幕が全編に着いたという事だけ。映像もリストアされてないボケボケのままだし、、こんなものを付ける意味が無いと思う。映像集としては決定版といってよい「ビヨンド・ザ・ビギニング」が出ているんだし、映像がシンドイのであれば、音に徹底して拘って(未発表ライヴやデモテイク等で)ディスク1枚作っても良かっただろうし、無理ならディスク枚数を増やさず、価格面も据え置いてくれたって良かった。