カツアゲされてる青年を自立させたり、アル中のマジシャンを更正させたり、台風の被害者を助けようとしたり――。ヒロインたるサニー改めサリーは、魔法は一応使えるものの大体最後は親頼み、肝心のところでは自分の力だけでは手も足も出ない事態にばかりぶち当たります。まあこの辺、リアルっちゃあリアルなんですが。
悪魔世界のプリンセスで、あまり常識もなくただ純粋な興味だけで人間世界に来るサリー。そんなサリーは結局は魔法をあまり使わず、人間達を自力での救済へと導くことになります。それもツンデレの父親、その方針から来ているのですが。
意外と魔法万能な作品でなかったのは好印象、親の愛情が全体の底流のテーマとして見えるのもいいですね。アニメの原作はどんなものかと思って今回手に取りましたが、そんなものにとらわれずもっと早く読んでおくべきでした。良作です。
モノクロからカラーに転向し、作品も軌道にのった本作。
この盤には、特筆すべき話がある。
それは#31(=『魔女のしあわせ』)。これは「魔女と人間は結ばれないの?」という、後の『おジャ魔女どれみ』シリーズ等で幾度か提示された題材だ。
ここでは、人間と結ばれる寸前の魔女とそれを妬む悪い魔女との対決にサリーちゃんが絡む展開となる{悪い魔女との対決は平成(=山本百合子氏)版でもやっていたが・・・}。
出来た話は怪奇性やアクションも豊富で、東映アニメーション[=旧・東映動画]の男児向けヒーローものや本作の原作者である横山光輝先生の『鉄人28号』・『ジャイアントロボ』・『バビル二世』調に仕上がっている{後続の#35(=『幽霊少女』)も同類項。署長さん。お見事だぜ!!でも「去年(=1966年)の12月の中頃」は確か・・・?}。
また当時の人気番組だった『特別機動捜査隊』調のスリラーサウンドも魅力的だったが(どちらも音楽は小林亜星氏{ただし『特捜隊』は2代目}!)、ラストシーンには『マジンガーZ』にも流用されていた名作の曲が流用されている。最後まで、耳を傾けてほしい。
この路線の永遠のテーマのひとつだけに、後の作品と見比べてほしい。
第54話「ミスター雪だるま」は以前観た時から、とても印象に残っているお話でした。 魔法で召使いになった雪だるまを、最初は邪魔者扱いするのですが、風邪薬を身を削って買ってくれたりして、だんだん好きになりかけた時、家の火事に自ら身を投じて消火する。 サリー達が泣きながら介抱するけど…?! もうこの辺になると観ているだけでジーンとしてきます。 今や少なくなってしまった犠牲的精神で、本当に純粋に教えられるアニメの最高峰です! 是非チェックしてみて下さい。
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