これは物語をエンターテイメントとして楽しみつつ、実際の皇室に興味をもつきっかけを与えてくれる作品です。
私は雑誌でもこの作品を読んでいますが、他の方が指摘されていた皇室の存在意義である『祭祀』については 2巻(3巻?)以降がっつり出てきます。 しかし祭祀といっても、一体どれだけの人が知っているでしょう。 天皇って何?と聞かれて「象徴」以上に説明できる人がどれだけいるでしょう。 それくらい皇室のことを学校で教えない。それが現状なのです。 昨年末のテレビでも祭祀なんて単語はあまり知られていませんでしたし、 天皇の仕事は外交だと思っている人がほとんどでした。 私もそうでした。
主人公はこの後の作中で「祭祀って何ですか?」と問います。 これが現在の、とくに若い人達の認識の現実であるのは間違いないわけで このマンガはそんな一般に近い感覚からだんだん色んなことを知っていける作りになっています。 知らない人が普通にもつ疑問を主人公が一緒に抱えている だからこそ感情移入して、分かりやすい形で勉強していける。マンガの定型です。
少女漫画という媒体なので、夢や希望や恋愛もおりまぜつつ フィクションという物語性の中で、皇室の概念を丁寧に描いている漫画は他にないと思います。 始まり方が軽い作風なのも、若い人に敬遠せず読んでもらう為の あえての間口の広さかもしれません。 ただ祭祀が話の中心になる展開になってから、いきなり雑誌の掲載順位が下がりました。 途中までのラブコメ時はカラーも多く掲載も前ばかりでしたから、本当に不自然なほど突然にです。 (個人的には高仁様の発言が問題だったのではと思うのですが。 もしくは少女漫画雑誌において堅い内容になるにつれ、編集サイドと砂礫が生じてきたのではとも予想されます) その意味でやはりこの題材を扱うのは難しいのかも、という今後の展開への心配はあります。 しかし現時点で私は本作品に大きな可能性を感じています。 うまく続けばとても素晴らしい作品になる気がします。
1〜4巻辺りまでは愚かなクラスメイト達とそれに輪をかけて愚かな教師に苛々しつつ、
5〜7巻辺りはマリア&あんなの感情のもつれあいとそれが引き起こす渦に巻き込まれつつ、
8巻になって黒須が登場してからは、ようやく少し場が和んだことをほほえましく思いつつ、11巻まで読んできました。
テーマの大きな柱の一つは過去のトラウマと言ってしまえばありがちなパターンですが、展開や見せ方が上手だと感じます。
マリアの恐怖感、焦燥感、深層に眠る「離さない」という言葉への拒絶反応、幻覚や幻聴、どれもうまく機能していて説得力があります。
同じ「トラウマ」という題材を扱ってもそれが単にアイテム化している作品も多々ある中で本作は好感が持てます。
11巻では最終章に向かってだんだん物語が動き出してきた感じがします。
マリアより右手をかばってしまったことへの罪悪感に苦しむ目黒、
笑顔を絶やさないながらも相変わらず心の中がいまいち見えない優介、
出生の事情が明らかになり、実父や祖父との歩み寄りが出来て少し荷が軽くなるマリア。
目黒の迷いはピアニストを目指す者ならば至極当然だと思うので
そんなに自分を責めなくてもよいと思うのですが…というか早くきちんと診てもらおうよ…。
前巻で弦が錆びているから云々という振りがあったので、傷が致命的にならないといいのですが。
マリアの様なコに「自分のせいで目黒がダメになった」と思わせたらもうホントにオシマイだよと思うので、
心からマリアを大事に想うのなら、目黒には自分をこそ大事にして欲しいな。
10巻で目黒の想いが爆発したことでマリアはある意味仮死状態から覚醒したと言えるので、
これからどうなるかはわかりませんが、できれば二人には幸せになってもらいたいものです。
あんな・優介の動向もまた気になるところです。
シスターがマリアに贈ったクロスと同じモノをあんなも持っていたこと、
マリアの母の実家が経営する制作所にそれらとそっくりなクロスがあったこと、
マリアの母の容貌があんなとダブること、目黒への気持ちがどうなったのか不明であること、
そしてどうも釈然としない消え方…彼女にはまだまだ色々と謎や引っ掛かる点がありますので、
その辺もこれからまた触れられる機会があるのか、それとも本当にあれきりなのか気になります。
優介のマリアへの気持ちがどの程度のものなのか、それもまだよく解らないのでもう少し本音を見せて欲しいな。
マリアの両の手の平の傷痕はキリストの磔刑のシンボルの様で意味深ですね。
昔々の西洋絵画にも、キリストでもない人物の両掌に象徴的に傷痕を描き入れたものがありますが、
マリアのそれもキリストの犠牲のモチーフか何かなのかな?
本作にはそういったモノがあちこちに散りばめられているので(※作品に宗教色があるという意味ではないです)、
作者がそれらに込めた気持ちやそのモチーフが果たす役割をあれこれ推測しながら読むと楽しいです。
この先ユダみたいな人物が出ないことを願っておこう…。
マリアを取り巻く人達がその刺激を受けていい方へ変わっていくのも読んでいて楽しい点です。
自分へのイジメをニコニコすることで諦め受け流していた友世も、集団を操って自分の意志を通させようとしていた亜由も、
偉大な父の影で小さく身を潜めているしか出来なかった目黒も、みんなマリアと関わることでひとつ成長しています。
マリアは勿論ですが、その輪を取り巻く人達それぞれにとっても、「死と再生の物語」―という感じがして、なかなか深い作品だなと思います。
これからの展開も楽しみに見守りたいと思います。
チロとハシモトくんの恋愛がなんとも初々しく、忘れかけてた初めて人を好きになった気持ちを思い出させてくれました。 ところどころチロが感じる心のセリフがまたリアルな感じが出ていて大変よくできてると思います。 今作品はネットシネマ限定で配信されていたみたいですが私は普通のドラマよりおもしろく感じました。 購入して見るのにはちょっと値段が・・・・という方にはレンタルをしてでもお薦めしたい作品です。
もう連載は最終回でおわっちゃったけど、9かんではチロちゃんがはじめて泣くシーンがあります。
ふわふわしてるけど涙みせたことなかったなーチロってつよいなと思いました。
そんなチロがハシモトくんの前ではすなおになって泣いたところがすごいきゅーってきた。
遠くにいっちゃうハシモトくんがゆってくれた優しくてつよい言葉で、チロちゃんはうれしくてさみしくて泣けたんだなって思いました。
あとふたりの公園のキスするまでのしりとりがすごいリアルでうらやましいっ!
ターニングポイント的な1冊でした。正直、内容のヘビーさに驚く。 激情のままエゴに支配される自分と、見返りを求めずただ相手を思う気持ち みんな両方もってるし、どちらも嘘じゃない。 でもどちらを出すかはその時の状況と心持ちで変わってしまう。 目黒はマリアを傷つけない為に自分をおさえ、長いあいだ犠牲的なほど気持ちを隠してきたけど、 今巻でそれがせきを切ったように爆発してしまいます。我慢が長すぎた故かもしれないけど。 でも、その「もう気持ちを隠さないでおこう」と決めたきっかけは 「うそで相手を守ってるつもりでも、残る気持ちは本当のこと一つだけ」 っていう綺麗事とも言えてしまうくらいの澄んだ気持ちだったわけで。 ケンカして喜べるって、本当に相手と近くなりたい証拠だしなあ。
善と悪、エゴと献身、綺麗さと汚さ、強さと弱さ、 いろんな表裏がこの漫画の最初からのテーマな気がする。 でも何故かほのぼのとしたあたたかさも随所で感じられるというのが不思議なところ。 10巻はアヴェマリアがその役割を果たしています。マリアのごり押し勝ちって気もするけどw
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