脚本家・早坂暁氏の自伝的要素が濃い作品で、代表作の一つ。 大正末期以降の愛媛県を舞台に、遍路道に面した商店を舞台に、様々な人間模様が繰り広げられる。 主演の桃井かおりさん(早坂氏の母親がモデルと思われる)を含め、決して派手さのないキャスティングだが、それぞれがその演技力を十二分に発揮し、渥美清氏の語り(その死後は小沢昭一氏に交代)が独特の味わいを出している。 方言を交えた会話のスピードが全体にのんびりしているのも、時代と地域的特色を滲みだしている。 1985年から1988年にかけて、第一章から第三章(計19話)、さらに1997年に『新花へんろ』として6話が放映されている。内容としては、このシリーズの後が『ダウンタウンヒーローズ』となるのだろう。 戦争や原爆の投下も含め全体としては、人生の悲しさやつらさを描くエピソードが多いのだが、そんな中でも逞しく生きる市井の人々の姿が、そこはかとない明るさを醸し出している。 個人的には第一章の終わり、森本レオさん演じる幸三(桃井さんの義弟役)と永島瑛子さん演じる、おこうの駆け落ちと、第二章の前半の、二人の心中がとても切なく、印象に残っている。
なお、第一章では、お遍路の母子として樹木希林さんと内田也哉子さんが共演している。
ちょっといい味のバイプレイヤーとして活躍の北山雅康さんのデビュー作です。22年間変わらぬルックスはほっとしますな。
主として、西條八十門下生の佐伯孝夫作詞、昭和23年シベリア抑留から生還した吉田正作曲の哀愁あふれる、名曲20曲厳選の吉永小百合さんベストアルバム。
伊達に「異国の丘」を戦地で歌っていたわけではない、故郷を思う人の生きようとする主意主体の意味が、足のつま先まで叩き込んできた暗黙知が吉田正を作曲に駆り立て、語るに語れぬ思いのかぎりを奏でる。
日活映画、吉永小百合主演「愛と死をみつめて」の主題歌「愛と死のテーマ」4分35秒収録。"二人ひとつの生命星(いのちぼし)"。台詞が入る。"ミコの分まで二倍も三倍も、さようなら、さようなら"。吉永小百合さんの思い入れも、ひときわ強く、聞く者に没入感を誘う。
生け花を習っているときに、流派って何だろう?どう違うのか?という 疑問がわいてきて、その時に出会ったのがこの本です。
各流派の起源やいさかいなどを含めた関係、方向性、そして存続していく 利益づくりの試行錯誤などがわかります。 歴史の本ですが、花を中心とした人間ドラマですので、退屈しません。
戦後の焼け野原の中、食べるものもろくにない中で花を集め生けていく 流派の創始者たちの熱意には心打たれます。
西洋のフラワーアレンジメントを含め、日本において花に関わろうと いう人には、読んでおいて損のない一冊です。
まず、主演俳優の中で織田裕二のみが頭を丸めて坊主にしているが、他の俳優達が入隊後もふさふさした髪なのに違和感を覚えた。この時代では軍隊はもちろん、学生もみな丸坊主だったはずだ。 しかも、丸坊主の織田裕二が主役なのを差し置いても一番イケメンで、坊主頭が凛々しく似合っていて、いい意味で戦前の香りがする日本男児に見事なりきっていたので、他の俳優達も演技は良かったものの、織田に比べると色あせて見えた。 最近の戦争映画は「YAMATO」も「俺は、君のためにこそ死ににいく」もイケメン俳優達がクリクリの坊主頭にしており(わだつみでは髪を伸ばしていた的場浩司も、俺きみでは青々とするくらいの五厘刈りだった)、これらに比べるとリアリティがないし、話も群像劇が裏目に出て散漫な感じだった。時間的制約を考えれば、織田裕二だけの話にして作り込んでいった方が良かったと思う。
但し、それを差し置いても織田裕二の演技は素晴らしく、悲劇的な最期には涙が止まらなかった。頭の形がとても綺麗なのもあって、坊主頭もむしろ長髪の時以上に美形に見えた織田裕二の美しい肉体と、祖国の家族達のために自己を犠牲にする魂の高貴さがあったからこそ、あの最期の場面の悲劇が一層切なく感じられた。
個人的には、これはまた織田裕二と、あとは的場がやった役を坂口憲二あたりで、シンプルな構成で深く作り込んでリメイクしてほしい。現代の人気俳優の中では織田と坂口の二人が、丸坊主が似合う、戦前の正統派の日本男児の顔立ちなので、例えばジャ○ーズがやると激しく合わなさそうだし、この二人で戦争ものを作ってほしいなあ...。
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