うーん。。。本当にオーステェンのファニーですかね? イメージが全然違っちゃいました、と私は思うのですが。ただいつ見ても19世紀のイギリス、特に貴族階級の生活、マナー、習慣、お城、あーっ魅了されてしまいます。
ここ数年低調だった翻訳SFの中では、かなりいい。SFと文学の両方の伝統をよく受け継いだ良作である。 ていうか、ある意味でズルいよ、これ。読んでる途中でブラッドベリとかマルケスとかを初めて読んだときの印象がぶあーっと頭の中をかけめぐるんだわ。たぶん、作者も過去の作品群へのオマージュとして、いろいろなイメージを積極的に利用しようとしているし、それは成功している。 それを抜きにしても、独立した物語として十分に楽しめる。ユニークなアイデア、独特の詩情、奇妙な整合性がある。何世代にもわたって登場する人物それぞれが、きちんと存在感をもっている。 ユーモラスで、残酷で、ありきたりで、へんてこな物語がお好きな人はどうぞ。
高校の時、渋谷NHK放送センター近くの楽器屋にあった400S(Strings,Flute,Brassの3種だった)を鳴らした。
店員が上蓋を開けて中を見せてくれたのを思い出す。
いや〜、これがあのメロトロンかと思うと感動しましたよ!
本作は不条理な恋愛コメディとなっているにもかかわらず
さりげなく「機械化の副産物」や「男女関係のゆがみ」が
描かれている点がすごいと思います。
(嘲笑的・悲観的でない点がうれしいです。)
まさに「ドタバタの中に優しき魂を宿す」一編といえるでしょう。
早川書房のSFマガジン創刊50周年を記念したアンソロジーの第3弾は、山岸真氏による「ポストヒューマンSF」の傑作編。耳慣れない「ポストヒューマンSF」というジャンルだけど、かなり私好み。
編者のあとがきによれば、ポストサイバーパンクと呼ばれる世代の作品だけでなく、70年代の作品も交えたものになっているから、このようなサブタイトルにしたということ。ウィリアム・ギブスンらのサイバーパンク・ムーブメントのさなかに、SFを読み始めた自分としては、ポストサイバーパンクも大好物。特に、グレッグ・イーガン、チャールズ・ストロスといったお気に入りの作家の作品も収録されているとあれば、読まずにはいられない。
そのイーガンの作品、表題作でもある「スティーヴ・フィーバー」、ストロスの作品、「ローグ・ファーム」も良かったけど、今回はじめて読んだ、メアリ・スーン・リーの「引き潮」という作品は、かなり衝撃的。難病を抱える娘を持つ母親の苦悩をテーマに、人間とロボットの違い、人間の尊厳とは何かという深いテーマを短いながらも濃密に描いていて、まさに、ポストヒューマンを予感させるような内容。SFというジャンルが、文学的な意味を持つことの証のような作品(と言ったら大げさかもしれないが)。
このSFマガジン50周年記念アンソロジーも、この第3巻で完結だけど、どれも粒ぞろいで、とても楽しめた。そして、改めて、これからもSFを読んでいこうと思わせる内容だった。
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