レオーネにしては抑え気味の本編。プロットも入り組んでいないぶん淡白に感じられるかもしれません。しかし、その分登場人物たちのかっこよさが際立っている作品です。
趣味のいいいでたちでいかにもプロフェッショナルのガンマンとおぼしきモルティモア大佐。ポンチョ姿の流れ者モンコ。双方とも立派な賞金稼ぎです。ともに10000ドルの賞金のかかった極悪人インディオをターゲットにしたときから、二人の運命が交差します。大佐の計画どおり動くふりをしてなんとか出し抜こうとするモンコ。その上をいく大佐。そして、さらにその上をいく凶暴な策士インディオ。このあたりの丁々発止がおもしろい。それぞれを、クリント・イーストウッドが飄々と、リー・ヴァン・クリーフが渋く、ジャン・マリア・ボロンテが冷酷に好演。
特に、リー・ヴァン・クリーフがかっこいい。生き抜くための要領を知り尽くした大人の男の魅力が炸裂。これまで、傍役しか与えられてこなかったクリーフですが、この映画でおいしいところを持っていき、ようやく開花。レオーネ監督は『荒野の用心棒』でのイーストウッドのときもしかり、本当に先見の明がある人です。パイプが、口ひげが、ベルトバックル横に傾いたホルスターの位置が、彼のトレードマークになったのはこのとき。こりゃもう、『荒野の用心棒』のイーストウッド、『ウェスタン』のチャールズ・ブロンソンと並ぶマカロニウェスタンが生んだスターの華々しい誕生の瞬間です。この役の候補に挙がっていたヘンリー・フォンダ、ロバート・ライアン、リー・マービンらが演じる大佐も見てみたかったですが、やっぱりリー・ヴァン・クリーフにこの役がいってよかった。人間辛抱すれば、かならずいいことが訪れるということです。
下手な水増しにたよらず、登場人物がじっくり描けている点、映画として魅力的な仕上がり。また、決闘シーンや山場も適材適所に配置されており、全体としてバランスがいいのもこの作品の強みです。もちろんイーストウッドはお茶目で魅力的ですし、エンニオ・モリコーネの音楽も耳についてはなれないほど効果的です。ほんとに、こりゃかっこいい映画。
セルジオ・レオーネと双璧と讃えられるセルジオ・コルブッチの、マカロニ史上最高傑作の1本。
廃盤になりオークションでもプレミアがついてましたが、パワーアップしての再販。
エンニオ・モリコーネの傑作群にたった1曲で対抗できる、ルイス・バカロフ永遠不滅の大傑作「さすらいのジャンゴ」も必聴。
セルジオ・レオーネなら全部観ているという方も、次はこれをいかがでしょう。 これを観ずしてマカロニウエスタンは語れません。
巨匠エンニオ・モリコーネの代表作。既発の『夕陽のガンマン/荒野の用心棒』カップリング盤を、
モリコーネ初来日記念盤とうたって、単独盤にし、ジャケット、解説書も一新、曲別解説も掲載。
ケース裏には、カップリング盤に載っていなかったポスター写真も3枚掲載。
収録曲は、既発カップリング盤の『夕陽・・・』部分と同じで、合計16分58秒しかないので割高。リマスターでもない。
その点については、説明書に「使用順の曲順によるリスペクト」に価値を見出すという苦しい説明があり、
「正直なところお買い得感はない」とも。
「単独盤」という点(ジャケット、解説書、曲順など)に価値有り、と判断できる方のみが購入したほうがいいです。
肝心の音楽自体は、言うまでもなく、名作であることには変わりありません。
ルパン・トリオによる日本語吹き替え版はもちろん良いですが、それとは別にもう1つの吹き替え版は、声優は別人ですが、5.1Chでフル録音になっています。山田イーストウッド、納谷クリーフとはまた雰囲気が変わって楽しめます。
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