読み進めるほどに、主人公「王昭君」の生きた世界へとどんどん引き込まれていきます。 今まで断片的に知っていた「王昭君」という女性を少し違った角度から見ることができました。そして、その「王昭君」をとりまく人々の心の描写も巧で登場人物に深みを感じます。 女性の生き方が問い直されている現代に生きる私たちだからこそ、彼女の生き方を読んで考えさせられる、そんな小説です。 歴史小説に興味がある人はもちろんですが、たくさんの人に生き方について問いかけている小説ではないでしょうか?
枕橋の御前と呼ばれる旗本の若隠居「本多隼人正」と彼の養女であり弟子でもある美少女剣士「美涼」、 そして美涼に危ういところを助けられた島帰りの大店の長男坊「竜次郎」の3人を中心に物語は展開します。 まず面白いのは隼人正と美涼の関係。 養父養女の親子関係なのか、剣術の師匠と弟子の関係なのか、将又、お互い惹かれあっている歳の差、訳ありの男女なのか? 全てにおいて二人の腹の探り合いと駆け引きが面白く、また、お互いそれを楽しんでいるかの様です。 竜次郎他の周囲の者にとっては全く持って「ややこしく面倒な二人」に過ぎませんが、 親子、師弟、男女のそれぞれの立場立場での心の機微を微妙に描いており面白いと思います。 作品の描き方もちょっと趣向が凝らしてあります。 物語の途中途中に隼人正と美涼との出会いを入れるなど再三場面が飛びます。 隼人正と美涼を襲う刺客との戦いなど楽しみです。
副題の「時代小説招待席」にあるように、
設定はいわゆる時代劇。
「恋愛」というテーマでの小編が集められています。
がその内容はさまざま。
でもちょっと怪しげな内容のものが多いです。
猟奇的な殺人を複線にした「臨時回り」とか
女の執念の話を旅籠での一夜話として語る「あずさ弓」とか…。
が、一編一編がいずれもしっかりと描かれています。
時代小説に人情ものを期待する方には向かないかもしれませんが、
そういう先入観なしにちょっと読んでみようと思う人には、
話のバラエティーにとんだこの本はいいのではないかと思います。
私は、恋愛というよりはちょっと悲しい姉妹愛を描いた「ねこ姫」、
「どうぞ」「はい」「ありがとう」としか言葉を発しない高貴な咎人に、
なんとか人との触れ合いを取り戻させようと静かに心を尽くす、
盲目の主人公藤吉の話「柘植の人」が好きです。
丹波屋が持ち込んできた美涼の縁談、相手は旗本の嫡男で道場主という触込みの倉本典膳ですが、 何故か道場は小さくてみすぼらしい、そしてまた弟子もいない様子。 隼人正の縁談相手に向けられたグチが、娘である美涼を奪われたくない父親としてのグチなのか、 将又、美涼を一人の女性として想う男性としてのそれなのか微妙です。
一方、江戸を荒らす凶悪な盗賊団が出現します。 高貴な生まれであるが故の心の屈折が生み出す身勝手な事件が罪もない人々の命を再び奪います。 その盗賊の頭の名が隼人正の心の中に眠る今は亡き許嫁「美里」を呼び起こします。 度々30年前の出来事を絡めながら物語は展開します。 盗賊団に秘められた謎、それがもし表沙汰になれば徳川家をも揺るがす大事件となります。 容姿に恵まれたばかりに、とある女性に岡惚れされた隼人正が、巻込まれた30年前の悲惨な事件。 この決着を彼はどう着けるのか?
相変わらずの「隼人正」「美涼」「竜次郎」のおとぼけ振りというか、 腹の探り合いというか、会話や行動が面白く描かれております。 二人の間にある師と弟子、父と養女の関係、そして大きく離れた歳の差の為か、 お互い素直になれない隼人正と美涼の関係が、発展するのかしないのか?それも楽しみなシリーズです。
厳し目の評価が続いているが自分としてはさほど悪くは感じなかった。アニメの改悪に比べればこの程d(ry
確かに我々の知っている蒼天曹操との再会は果たされなかったが、同時に新たな蒼天曹操との出会いでもあった。後書きにあるように著者は連載終了後に全編読破したことから、モーニング連載とコミックスを追いかけながら蒼天曹操達と時間を共にすることが出来なかったのだろう。特に連載中の彼らの息遣いを感じ取れなかったことはもったいないの一言だが、逆にそれが蒼天曹操の心の内面を描くという一見不可能な作業を可能にしたとも思える。特に“オス”のマンガである蒼天航路を女性が描くとこうなるという点でも非常に楽しめる内容だった。
これに懲りずにこういった企画なら続けていって欲しい。(ただしアニメ化はなしで)
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