いつもながら、知的で格調高い演奏が聴けますが、ここではスタジオでの収録というせいもあるのか、この時期の演奏としては珍しく、コントロールの行き届いた落ち着いた演奏になっています。モノラルながら音質も映像も明瞭です。
写真では判らなかったことですが、動画で見ると、表情の1つ1つ身ごなしの1つ1つに気品と儚さ、ロマン的な雰囲気のようなものがたちこめていて、これでは生前熱狂的な人気があったというのも無理からぬ話です。こんな姿を見て、こんな演奏を同時進行で聴くということからすると、彼のステージに接するというのは、多くの証言にあるように特別な体験という以上のものがあったのでしょう。身も心もどうかなる人がいてもおかしくはありません。
つまり演奏者は極上なのですが、不必要に動かしたカメラワークや、今となってはただ古いだけの演出はまだいいとして、全てのトラックでピッチが半音近く高いため、聴けたものではありません。演奏と映像がよいだけに余計目立ちます。
もちろん、それが気にならない方には全面的に推奨できるものですが。
音楽だけで聴いていると、どうしても眠くなりがちなこのオペラも、やはり映像がつくと音楽の魅力もいっそう引き立って聞こえる。このオペラが大傑作であることを初めて認識できた。ブーレーズとイギリス歌劇場というちょっと変わった取り合わせで録画・録音されているこのDVDの魅力は、なんといっても歌手である。特にメリザンドのハグリーは歌もよいが、なんとも美しく魅力的な歌手で、美しさゆえに男の運命を滅ぼしてしまうこの役柄にぴったりだ。またペレアスのアーチャも、王家の純粋無垢なボンボンの役にぴったりの歌手である。ゴローのマクスウェルも、頑強だが愛のコミュニケーションを理解できない男の悲劇をよく出している。ブーレーズの指揮は、もう少し輝きがほしいと思うところもないで'!''ないが、十分に楽しめる。何度も聴きなおしたくなるDVDだ。
ピアノの先生に指定されて購入しました。 ドビュッシーと言えば「コレ」という曲目が収録されています。 曲の1ページ目に解説が書かれているのが、ありがたいです。 お値段もお手頃で、とても満足です。
『映像』の「春のロンド」の譜面が見たくて注文しました。前のレビューでインクがにじんでいた部分があったとのことで、ドキドキしていましたが何もなかったです。 運が良かったのか…興味があるなら買いですね。
リヒテル、61歳(1976年)、モスクワ音楽院大ホールでの演奏録画。しっかりとした姿勢で、打鍵、鋭利に、曲のなかに、聴く者を導く。映像のなかで、コメンテーターが言っているように、正に、作曲家と聴衆との間にある壁を取り払う演奏だ。事実、いずれの曲も、親しみ深く感じられ、これがラベルだったのか、あるいは、エッ、今聴いている曲がベートーヴェンなのか、という思いを持たせられる。さすが、20世紀に君臨した大ピアニストであることを実感する映像である。ただ、ノイズがあるのが、難点であるが、希少な映像であるだけに、その点は、やむを得ないこととしよう。しかし、PCMステレオで聴くよりも、ドルビーディジタル・サラウンドで聴いた方が、ノイズが気にならない。念のために。
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