前回、前々回の大仕掛けとは違い、個人客とのお付き合い。
とはいえ、もともとお人良しの夫婦を助けたかと思えば、
借金地獄に落とし、法律スレスレ(アウトか?)の仕掛けで追い込みを掛ける。
今回は灰原君の身の丈にあったお話しであり、「上巻」と記載されているので
次巻で終わるであろう長さも丁度良い。(まさか中・下と3巻にはならないだろう)
但し、産廃の山やんを引き込んでの”ビデオ撮り”を脅迫ネタにしたところは、
金融屋の範疇を超えていると思うので、星一つ減点。
ニコラス・レイである。青少年の味方ニコラス・レイである。劣悪な環境で育った美青年を巡る裁判劇である。性善説をベースとしながら人はかくも弱い存在である…と言いたげな物語。説教臭くてゲロゲロな展開なのに…涙ホロホロホロホロホロホロでエンドマーク見たのは登場人物の顔がいちいち良かったからだと思う。ハンフリー・ボガートって立派な大人の顔してるよね。
識字率と出産率でかなりのことを語っている。それはそれで面白い視点だが、展開されている主張を裏付けるファクトベースのデータが少ないと感じた。そのため、米国は帝国にあらずという論理の展開自体は目から鱗というものではない。開放マクロ経済や金融の理論的視点から考えると、論旨に賛成できないところもある。それでも、世界が民主主義の道を歩まんとしている時にそのリーダーの米国が民主的でなくなってきており、世界経済が発展・成熟して各国が米国を必要とする度合いが小さくなってきている時に米国は世界を必要としている、という視点は面白い。筆者の問題提起や理論をそのまま受け入れるのではなく、考えながら自分の思考を豊かにしていくつもりで読めば悪くない。
ここに書かれていることが100%真実とは思いたくないが、信憑性は充分にあると思う。コレは爆弾だ。
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