最近までの情報や事例を紹介しながら、第三セクターの特性や問題点を示す。また自力更生から清算まで、状況に応じて4つの選択肢を示し、その際の要点を挙げている。 記述がやや冗長なところもあり、現状・問題点・対策と整理されていればなお良かった。また「当事者意識がない」などの指摘はやや皮相的。著者は否定的だが官の出資が問題の根本ではないのか。三セクはフランスのSEM(混合経済会社)とは異なる。
これでもかというぐらいの性描写に注目がいくこの作品ですが… わたしはこの作品の肝は、街を歩く吉蔵が兵隊の隊列とすれ違うシーンだと思います。 社会全体が生命を粗末に扱う中でそれに背を向け愛する女の所に向かう男。 社会から隔絶し刹那に追い込まれるがゆえに高まる官能。 それと引き換えに吉蔵は定に喰われることは覚悟していたのでしょう…。
読み終わった後、少しの間放心状態で、これ以上読み続けるかどうか悩まされる巻でした。
内容はこれは青春小説?といっていいのかというほど、残酷で辛い現実を突き付けられた感じでした。
一巻があれだけ良い感じで終わっただけに、どうしてなのかな、と思いましたが、この本の作者も力を
込めて、苦悩しながらこの話を書いたのではないでしょうか。3巻通して読んだ後、再び読み返せばも
う少し違った見方ができるのかも知れません。
2巻目のテーマは「光と影」。影の部分が多少強いかったかもしれませんが、タイトルが何を意味し
ているのか、また、再び明るさを取り戻すことを期待して、3巻目を読むことを是非おすすめします。
国際経済記者である筆者は1970年代からの主要な危機局面をことごとく現場で取材してきた。第一線の現場の取材を経済分析手法で切り直し、今危機のタネが71年のニクソンショックにまかれ、85年のプラザ合意、97年のアジア通貨危機を経て2001年9月の同時中枢テロで一挙に21世紀型バブルとなって膨張して行くプロセスを再現している。 グローバル金融危機と日本経済の閉塞状況を書いた新刊は山ほど出回っているが、いずれも従来の経済理論や旧来理論の延長で書かれている。本書は従来の理論では危機を分析できないとし、マネーの再定義にまで踏み込み、なぜ金融商品バブルが実体経済を大恐慌期並みに縮小させるかを論証した。金融商品の膨張と中国の輸出の伸びが連動するなど、実体経済が証券化商品やデリバティブに共振し、従来のマネーとはかい離してしまった恐るべきドル基軸によるグローバル金融経済の実相を暴き出している。 ドルに依存し、外需に頼り切り、思考までも米国に丸投げしてきた日本はこうして米欧以上の打撃を被り、米国式に慣れ切り無思考になった霞が関官僚は解決策をみずからの手で見つけられない。 そこで、筆者は脱米依存、政治の霞が関官僚依存を抜本的に排すべきと主張する。新しいマネー定義により、円経済圏形成に踏み出す新通貨戦略や米中のマネー乱発に対抗した通貨発行こそが日本の閉塞打開になると大胆に提言している。 折しも、政治はチェンジの季節を迎えたが、民主党の発想自体、旧来の思考の域を出ていない。民主もまき直しを目指す自民も、そして日本の方向性を追求する者にとって、多いに啓発される書である。
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